大多喜町は、モウソウ竹林が300ヘクタールにもおよぶ「竹の里」で、なかでも土壌が酸性白土の川畑地区・平沢地区・弓木地区は、良質な筍(たけのこ)の産地としてかねてより盛んに栽培されてきました。
私たち弓木地区では、かつて弓木筍生産組合という地区での組合があり、主に、東京方面へ「白筍」と銘打ち出荷していました。
苦味・えぐ味がなく、肉質が緻密でかつたいへん柔らかい、最高品質の筍として、市場関係者には知られていました。

しかし、品質の維持の難しさと生産者の高齢化に伴い、組合は約25年程前に解散されました。
昨今、山には、猪や猿が増殖し、竹山を荒らしています。この鳥獣被害は、筍の生産の存続を危ぶませるほど大きいものです。
私は、何代にも渡りこの土地弓木に伝えられきた「白筍」、柔らかく・瑞々しく・香り高い筍の生産に、力を注いでいる者です。自分が食べても、これほど「うまい」と思える筍はないと思うからこそ、この灯を絶やすことなく受け継いでいきたいと思っています。
非常に適した土壌と竹山の管理、適期の収穫によって、お客様に満足していただける「白筍」をご提供したいと思っています。 

土質と筍

おいしい筍って、どんな筍だと思いますか。具体的に考えると、「香りが良い」、「食べた時の味が良い」、「歯ざわりが良い」、「柔らかい」、「瑞々しい」など、いろいろな要素があると思います。
その筍のおいしさを決定づける栽培上の一番の要因は、土質であるといわれています。筍の栽培において、酸性白土の土壌が適しているといわれていますが、ひらたく言うと、のっぷ(火山灰土)が掛かっていなく、粘土質の濃いところがうまい筍ができるということです。

では、なぜ粘土質の濃いところがうまい筍ができるのでしょうか。
それは粘土質の水持ちが良い点にあると考えられています。水持ちが良い土壌からは、水分や土からの養分が安定して植物に供給され、繊維が緻密になるといわれています。

その逆が、いわゆる筋っぽいと言われるもので、筍の瑞々しさ、柔らかさ、筋っぽい・筋っぽくないというものが、土壌から大きく影響を受けるのではないかと考えられます。

写真・雨宮秀也

そして、この土地は太古の昔、海底にあり、隆起してできたということです。この粘土質には、多量のミネラルが含まれ、そのミネラルが筍に作用し、苦味・えぐみがなく、特有の甘み・うま味が強い筍を作るという話です。
私は、筍にとって最も適した土地は、この土地弓木だと思い、ただでさえ「うまい」筍が、竹山の管理と適期の収穫をすることによって「極上の筍」になると信じて、努力してまいります。

竹山の管理

「筍は竹やぶにはえてくる」と思っている人が多いのではないでしょうか。確かに全く手入れもしない、ほったらかしの竹やぶからも筍はでてきます。しかし、効率的に収穫作業を行えるようにするだけでなく、収量の安定化やすんなり筍を育てることを意図して手入れをし、竹山の管理をおこなっています。

たとえ一度きれいにした竹山でも2-3年ほったらかしにしたら、すぐに籠をしょって歩けないほどの竹やぶになってしまい、地面も地下茎が絡み合うほど込み合ってしまいます。竹山の管理は、イコール、竹をどれだけ切れるかということではないかと思います。

竹を切ることによって、古い竹から新しい親竹に更新し、全てを勢いのよい親竹にします。また、親竹と親竹の間隔をあけることによって、陽の光が竹全体に行きわたります。込み合った所にある竹と充分な間隔が確保された竹では、付いている葉の量に雲泥の差があり、養分の供給量に大きな開きがでます。さらに、陽の光が地面にも届くことによって地温を上げ、筍の発生を早くします。よって、我が家の竹山は、雑草がびっしりと生えてしまいますので、その始末がたいへんなのですが…。

正直言いまして、切った竹を後片付けするのは、大変な重労働です。生えた草も全て草刈りを行います。竹山に通じている道の手入れをし、筍を食い荒らすイノシシ対策のため、周囲に電気柵を張ります。

地面のちょっとした変化を見逃さないように地面の枯れ葉や切り草などをきれいに寄せ終えたら、収穫に向けての準備完了です。

適期の収穫

これほど柔らかく、瑞々(みずみず)しく、香り高く、あく(苦味)なく、味が良い筍は、他にはないという確信をもって、一年間竹山を管理しております。
筍の善し悪しを最後に決定づけるのが収穫で、地もぐりの筍を掘り続けることに専念しております。
なぜなら、筍は地表に顔を出し太陽の光を浴び始めると、すぐに緑化を始め、竹になり始めます。竹になり始めるということは、硬くなりエグミがでてくるからです。
筍を掘る者にとっては、地面にでている筍を掘るほうが労力的に断然ラクです。筍そのものを見つけた上で掘り始めるので、時間的にも短縮され、大きくなってくるので収量が上がります。また根が上方に上がり硬くなり始めているので、ちょっと雑に掘っても傷がつきません。

一方地もぐりの筍は、地中にある筍を地面の動き(地割れや盛り上がり)で判断し探し出さなければなりません。また、地面にもぐっていればいるほど筍は柔らかくクワがちょっとでもあたると傷がつきます。深くまで掘らないと掘り上げられないので細心の注意と技が必要となります。
4月中旬を過ぎると、でてくる本数、一本一本の伸びる長さも倍増するため、地面に出てしまう筍がたくさんになってしまいます。
敢えてこのような筍は見捨て、地もぐりの筍だけを掘ることは、何よりもお客様にこの白筍の柔らかさと瑞々しさ、香りを味わっていただきたくて、こだわって一本一本掘り上げています

 
筍の「あく抜き不要」

 
世間の常識では、筍はあく抜きしないと食べられないものと決まっているそうです。
「えっ、ホントにアク抜きしなくていいの?」と何度となく聞かれました。米ぬかを入れてグツグツと煮込んでアクを抜くことなんて、我が家ではしません。
そう、しなくて良い筍なんです。そんなことをしてしまっては、筍の香りが飛んでしまい、瑞々しさがなくなってしまい、なによりも筍がトロトロになり特有の食感がなくなってしまいます。

我が家では、煮物をする際、皮を剥き食べる大きさにきって、そのまま煮つけます。掘った翌日の筍を宅配などで受け取られたお客様においても、さっと茹でこぼす程度、根菜を下茹でする要領で充分です。

すぐ食べる時は、みそ汁や煮物はもちろん、天ぷらにする時も、生の筍をそのまま食べる大きさに切ってすぐ調理します。

少しの間保存して食べたい時は下茹でします。水を張った容器で冷蔵庫に入れれば、毎日水を入れ替え1週間ほど美味しく召し上がることができます。

「お宅の筍は、とても扱いやすいわ。筍が身近な食材になったわよね。」とお客様に言われます。そうです。筍の皮さえ剥けば、そのまま調理できるのです。

よろしかったらお客様の声(筍編)のページをみてください。驚きと感動をお届けする我が家の「白筍」、是非お召し上がりください。